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事業所得から給与所得に転換することにより「給与所得控除」が使えることが、最大のメリットでしょう。給与所得控除とは、大雑把にいいますと、サラリーマンの概算経費控除のことです。オーナーが法人成りして会社から給与をもらう場合、法人税の計算上費用を使っておきながら、さらに給与の所得税の計算上、概算経費控除を使うことになるため、経費の二重控除であるといえます。この旨味は「特殊支配同族会社」制度によっていったんなくなりましたが、制度が廃止されましたので元に戻った状態です。ただ、23年改正で、一定の制限が加えられる予定です。

ただ、注意していただきたいのは、法人税では、役員報酬は「毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反復又は継続して支給されるもの(法人税基本通達9-2-12)であって、各支給時期の支給額が同額であること」、役員賞与は「事前に確定したうえで届け出ること」が要求されるということです。この条件にはずれたものは原則として損金不算入(経費として落とすことができない、という意味です。)とされます。役員報酬の見直しができるのは、原則として年1回、定時株主総会のときだけです(例外もあります)から、よくよく注意して報酬や賞与の額を設定しないと、利益が出ていないのに税金を払う羽目になりかねません。

さらに、個人の場合は交際費に制限がありませんが、法人の場合は一定の額が損金不算入になることにも注意が必要です。また、税率の面でも、必ずしも法人が有利とはいえないところがあります。

つまり、つねに法人成りが節税になるというわけではありません。各社の個別事情に応じたシミュレーションを行なうことが必要です。社会保険料の増減も考慮に入れる必要があります。

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